50周年記念事業募金
医療保健学部 理学療法学科

宮地 諒講師

研究者情報へ

#研究キーワード

腰痛と生活習慣の関係、腰痛に対する全身振動による運動制御トレーニングの効果を検証します

腰痛などの運動器障害では、痛みを発生させている組織だけでなく、痛みを引き起こす要因や増強させる要因への介入が重要です。私が着目している要因として、腰部の活動量、肥満、睡眠などの生活習慣や腰部の運動制御があげられます。近年、小型加速度センサや活動量計などの測定機器の進歩・普及に伴い、生活習慣や運動制御と運動器障害との関係が明らかにされつつあります。しかし、運動器障害と生活習慣、運動制御の因果関係や重要度、生活習慣に基づく介入の効果についてのエビデンスはまだ十分にあるとは言えないのが現状です。また、痛みを引き起こす要因や増強させる要因への介入にはシンプルで効果的な方法が求められています。

そこで、注目するのが「全身振動を用いたトレーニング」です。この方法は、骨粗鬆症の改善や転倒予防などの幅広い領域で用いられており、筋活動や筋の柔軟性、運動感覚などについても改善効果が示されています。そのため、腰部の運動制御の改善に対しても効果的なトレーニング方法となる可能性が期待できます。

以上のことから、私たちの研究チームでは、生活習慣に基づく介入や全身振動を用いたトレーニングの効果を調べ、腰痛の予防と改善に対する有用な介入方法を確立していきたいと考えています。運動器障害に伴う痛みや疾患への恐怖、活動制限は精神面や社会面と相互に関わり、ウェルビーイングを阻害します。特に、腰痛は有訴者が最も多い症状の一つであり、高齢者の生活空間の縮小化や就労者の労働生産性の低下、さらには個人の生活の質だけでなく社会レベルにおいても大きな影響を及ぼします。腰痛の予防・改善をすることで、自宅での生活や趣味、仕事など、さまざまな場面での健やかな生活、ウェルビーイングに寄与できればと考えています。

私が考えるウェルビーイングな社会

やりがいや充実感を持ちながら自分の意思で意欲的に物事に取り組める、取り組もうと思える状況。自分や他者、社会に対して考え、行動できる余裕を持てる状態。

一覧に戻る