要介護者の過介護状態は、介護者にかかる負担と本人の生活機能の低下が問題です。そこで、本研究では、要介護者の生活機能とウェルビーイングを向上させることを目的に、理学療法士が介護現場で実施する間接的理学療法の有効性の検証を行っています。特に、介護者や家族への介護方法や自主練習の方法の指導を通じて、要介護者が「現在できること」や「将来的にできるようになる可能性のあること」を最大限に活用できるようにすることを目指します。
具体的には、間接的理学療法の導入、教育プログラムの開発と実施、テクノロジーの活用の3点により、要介護者の生活機能とウェルビーイングの向上を目指します。要介護者に対しては、自立支援の強化、生活機能の維持・向上、心理的サポートを、介護者に対しては、教育とトレーニング、ストレス軽減とサポート、コミュニティの構築を行い、両者にとって健康的で満足度の高い生活の実現に貢献したいと考えています。
今後、実証研究の拡大や長期的な効果の追跡調査を行うことで、間接的理学療法の効果を多角的に検証するとともに、継続的な支援の有効性を評価することも可能になると考えます。また、介護者向けの教育プログラムの強化、ウェルビーイング向上に寄与するアプリケーションやデバイスを開発することで、介護者と要介護者の両者の生活に対する支援も期待できると考えます。要介護者と介護者の双方がより充実した生活を送るための持続可能な介護システムを構築し、社会全体のウェルビーイングの向上に貢献できればと考えています。
私が考えるウェルビーイングな社会
身体的、精神的、社会的にバランスが取れた、生活の質が高い状態の社会。