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医療保健学部 理学療法学科

少作 隆子教授

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#研究キーワード

脳の多様な機能に関わる「視床網様核」の働きを明らかにし、臨床に役立つ知見を提供します

すべてを解明することは不可能に近いとされている脳の機能。私は、これまでエピソード記憶に関与する「海馬」、運動学習に関与する「大脳基底核」に関する研究に取り組み、近年はさまざまな脳機能に関与するとされる「視床網様核」の働きを明らかにする研究を行っています。解析方法としては、主にシナプス電流(神経細胞間の情報伝達)や行動(動物の学習機能)のほか、最近は主に脳波の解析を行っています。これらの脳部位の解析を通じて、最終的には脳の“ある機能”が、どのような分子メカニズムで、どのようなシナプスレベルでの活動あるいはその可塑的変化、どのような神経回路レベルでの活動あるいはその可塑的変化により担われているのかを明らかにしたいと考えています。

また、視床網様核は虚血に弱く壊れやすい脳部位のため、さまざまな脳疾患において視床網様核の機能が低下している可能性が考えられます。それを調べるためには、視床網様核機能の評価法が必要ですが、まだありません。そこで、「身体的、精神的、社会的障害における視床網様核の関与を調べる指標の確立」にも取り組みを始めました。

人間は、脳に障害が起きた際、「思うように体を動かせない」「これまでのような思考ができない」など、さまざまな問題を抱え、苦痛を伴います。また、骨折などとは異なり、一度障害が起きた脳組織は、完全に元に戻ることはありません。しかし、障害が発生した部分の働きを障害を免れた部分が補う形で、機能を回復させることは可能です。脳の疾患に関するメカニズムとその予防、機能回復のメカニズムを明らかにすることで、病気の予防法や治療法の開発に繋げたいと考えています。

私が考えるウェルビーイングな社会

お互いの違いを理解、尊重し、認め合うことができる「居心地のいい社会」。

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