北陸大学高等教育推進センターは、教員への研修ニーズの聞き取りを基に、「教職員と学生の学びの場づくりの結び目となる」「学習者中心の教育・学習を通じて、私たちの社会をより善くする」をミッションとしています。これまで、個人・グループを対象とした「授業コンサルテーション」と、学部横断の学際的な場となるインスティテュートを「授業設計ワークショップ」として再開発してきました。
また、より気軽に参加しやすい雰囲気の中で、それぞれの課題や悩みを相互に共有する場として、各学部に所属する教員を主対象として「ファカルティ・カフェ」も試行してきました。実施方法は、キャンパス内の各所やビデオ会議(Zoom)での開催とし、私がファシリテーターを担っています。参加者同士で授業の工夫や悩みを共有するとともに、多様な意見を交わす機会をつくることができ、普段は会話をする機会が少ない教員間で議論する等の効果も得られました。
このような教員間での学術的な会話を促すには、さまざまな類型のファカルティ・ラーニング・コミュニティ(FLC)を越境的な実践コミュニティの形成につなげていく必要があります。今、持続的な教育開発と大学教育学習センター(CTL)の設計・開発のために、CTLアセスメント基準を翻訳・再設計し、米国POD Networkに掲載されるなどの成果が上がっていますが、継続的なアクション・リサーチと効果検証が実践上の課題となっています。
本研究では、CTLに所属するFD担当者らの実践枠組みとなる「日本版CTLアセスメント基準」の開発に基づいて理論的・実践的基盤を構築し、研究と教育を統合的に捉える包括的な学術開発(Holistic Academic Development)の日本の大学教育への実装を模索します。