医師・医療従事者の不足やバーンアウトといった社会的な医療問題の根幹には、医師らの身体的・精神的健康問題が存在しています。なかでも、医師・医療従事者のメンタルヘルスは、医療の質に直結するとも言われていますが、業務中に受けるストレスの正体は未だ不明です。
また、近年、スポーツの現場においては、指導者の暴力や暴言といった「スポーツ・ハラスメント」が大きな社会問題となっています。日本スポーツ協会を中心に暴力行為等の根絶に向けたさまざまな取り組みがなされていますが、その根絶には程遠いのが現状です。
医療、そしてスポーツの現場が抱えるこうした課題に対し、私は最先端の生体情報モニタリング技術を活用してストレス反応やストレス動態を分析する研究を行っています。たとえば、医療行為中に現れる医師らのストレス反応、スポーツの指導における指導者のストレス動態を視点工学や生体工学的理論に基づき分析し、得られた結果をもとにストレス状態をリアルタイムに測定しAIによる解析などから可視化可能なシステム・装置の開発を進めます。
これにより、これまで可視化できていなかった医師や医療従事者、スポーツ指導者のストレスに対する生体反応を定量化し、今後はその成果をもとに、ストレス状態をリアルタイムにモニタリングすることができるシステム・装置の開発を目指します。
ストレスに起因する医師や医療従事者のバーンアウトの予防、スポーツ指導者のストレスをコントロールすることで、医師・医療従事者の不足や偏在の解消、スポーツハラスメントの予防に貢献できればと考えています。
私が考えるウェルビーイングな社会
都市部、過疎地域問わず、すべての人が等しく医療を受けられる社会、生涯スポーツを通しての健康づくりが実現する社会。